SNSで次から次へと色んな情報・他人の楽しそうな毎日が流れてくると、たまたま今あなたがうまくいっていないことがある場合、とてもシンドク感じることがあるかもしれません。今や生活手段の一つとしての役割もあるSNSを完全に断つこともできず・・・。そんな時、どうしたらよいでしょうか。

エッセンシャルな人生を送る女性が夢・想いをどんどん叶えていく「わたしらしい幸せ」ライフエディター湯本レイナです。

人と比べないためには

先日、とある情報発信サイトの記者の方から、「(このような比較・検索が日常となっている現代において)他者と比較しない術を習得すると、どのような世界観になるか」といった内容の取材を受けました。その時にお話しした内容を少し紹介します。

他人と比べることで陥る悪循環

人と比べる時、大抵「他人は持ってる・私はもってない」ことにフォーカスを当てています。例えば「あの人はあんなことが出来ているのに、私にはできていない」「あの人はお金も時間も余裕もあるから出来てるけど、私にはそんな良い条件・環境はない」といった具合に、「ないない」思考に陥っている可能性が高いです。

「ない」にフォーカスしていると、自己肯定感(自分のことをOK!と思えて、受け入れられる力)が下がり、自己効力感(私はできると思える力)が下がっていきます。

そうすると、本来持っているチカラを出し切れず、パフォーマンスが下がったり、集中力が落ちたり、今ココにおらず過去を後悔したり未来の不安ばかりしたり・・・という悪循環が続くことが考えられます。

劣等感自体は悪いものじゃない

この「人と比較して自分はまだまだだ」と思うことを「劣等感を持っている」と表現することがありますが、実は、アドラー心理学では「劣等感」自体は悪いものでも何でもないと考えます。人間は「もっと善くなろう」と思う本能的な働きがあり、その源泉に「劣等感」があるのです。

赤ちゃんが成長していく過程で、周りの兄弟や大人を見て、あんな風に出来るようになりたいと思いながらもうまく出来なくて泣いて愚図ることがよくあります。それはまさに「劣等感(まだ自分はできないこと)」への如何ともしがたい気持ちの表れと言えます。

また逆に言えば、一般的に見て成功した人であるオリンピックの金メダル選手や大企業の経営者でさえも「劣等感」を持ち続けていることはあります。「劣等感」をバネに、より成長していこう、もっと上を目指していこうという気持ちがあるからです。劣等感があることで、目の前にある困難を乗り越える原動力にもなるのです。

現状を理解していることは大事

また、他の人と比べて自分はまだまだだと感じるというのは、「自分の現状を把握している」ともいえるかと思います。目標を達成したい時、私たちは

  1. 現状を把握
  2. ゴール(本当はどうなりたい・どうありたい)を設定
  3. ゴールに向かうための目標を設定
  4. 前に進むために必要なものは何かを把握、既に持っているものはないか確認
  5. 最初の一歩であるアクションのプランを立てる

といったアプローチを踏むことがありますが、その際、まず最初に「現状を把握」します。今、自分の状態はどうなっているかを把握することなしに、前に進むことはできません。今の自分の状況を客観的に把握することは全く悪いことではないのです。

が、それをどう捉えるかが大切です。捉え方を間違えると「自分なんてやっぱりダメだ・・・」と、いわゆる「劣等コンプレックス」に陥ってしまいかねません。こうなると、「ないない思考」でフォーカスしている「ない」状態を自分への言い訳に使い始めて、現実から目を背けて逃避する姿勢へとつながります。

人と比べているようで、実は理想の自分とのギャップに苦しんでいる

私たちは他人の状況と比べて今の自分に対して凹んでいると思っているかもしれませんが、実は「他人」を通してみる「理想の自分」と「現状の自分」とのギャップに苦しんでいるのです。

人は、自分とケタ違いの状況の人を比較の対象にすることはありません。例えば、何かのスポーツをしていたとして、世界トップレベルの選手と自分を比較をすることはないけれど、同じチームの運動神経のよい活躍している選手と自分を比較することはあるのではないでしょうか。

自分にもそのレベルに達する可能性はあるけれど、まだ辿り着けていない・・・そう感じる時に「人と比べて苦しい」と感じるのではないでしょうか。逆に言えば、少し手を伸ばせば届くところでもあるわけです。NLPの基本前提に「あの人ができることは、あなたにもできる。ただやり方を知らないだけ」というものがあります。やり方を知らなければ教えてもらうなり、調べるなり、試しにやってみて検証するなり、やり方はいくらでもあるはず。要は「やるか・やらないか」なんですね。

人と比較しないようにするためには

先ほどまで、比較すること自体にもメリットがあるお話をしてきましたが、最初のお題である「人と比較しないようにするため」に戻りたいと思います。

  • 自分軸を持つ(自分は本当はどうしたいか)
  • 勝ち負けの土俵から降りる
  • 自分がどう感じているかを、否定やジャッジすることなくただただ眺めて、自分の思考のクセ・マイルールに気付く癖をつける

色んな考え方があるので、あくまで私の考え方ですが、やっぱり他人と比べる時に「他人軸」で生きてしまっている可能性が高いことから、自分軸を確立することが最も重要なのかなと感じます。それは自分勝手になることではなく、「自分を生きる」ことと言えるかと思います。

また基本姿勢として「相手よりも勝たねばならない」と思う人は人と比較する傾向が強いかと思います。何を見ても勝負を挑まれているように思ってしまうから。ですので、敢えて「土俵から降りよう」と意識することで、自分の外の世界に向ける目が変わってきます。

そして、他人と比較しようとしている自分に気付いた時に、そんな自分を客観的に観察できる目を持てるようになると、一気にラクになります。何事もそうですが、悩みがある時にはそこに囚われ巻き込まれている状態です。一旦そこから抜け出し、外側から眺めることが出来ると、これまで大ごとと思っていたことも大したことないと思えることって意外とたくさんあったりします。

ニュートラルな位置にいる自分

上記のような「自分軸」「勝ち負けを手放す」「自分の思考や感情を眺める」を日々続けてみると、徐々にニュートラルな立場でいる時間が増え、何か心が揺れるような出来事があったとしてもブレない自分が持てるようになってきます。

ベクトルが自分に向いていない(「自分は〇〇なのに・・・」と自分のことを不安心配に思わない)で、ベクトルが外側(世の中の状況・他人・出来事)に客観的に向けることが出来ている状態ですね。

そうなれば、他人が幸せそうにしているのを見れば、自分も素直に温かい気持ちになれるし、他人が成功した時には一緒に喜ぶことができる。

自分の体調やタイミングなどにより、出来る時、出来ない時があるかと思いますが、基本姿勢としてこれらを意識することで、よりラクにより生きやすく、より幸せに毎日を過ごすことができるのではないでしょうか。